子宮頚がんワクチン(HPVワクチン)予防接種について
院長コラム
子宮頚がんワクチン(HPVワクチン)のキャッチアップ接種に取り組んでいます
平成9年4月2日から平成19年4月1日生まれの女性(17才から27才の女性)に対して、子宮頚がんワクチンの接種を急いで接種することを強くおすすめしています。
本来子宮頚がんワクチンの接種対象は小学校6年生から高校1年生相当の女性となっていますが、上記の年代(令和6年で17才から27才)の女性は国が接種を積極的にすすめていない時期にその対象年齢であったため、大半の方が接種機会を逃しています。
接種機会を逃した方が無料で接種できるキャッチアップ接種の期限は令和7年の3月末までとなっています。
子宮頚がんワクチン(シルガード9)は6ヶ月間で3回の接種が必要となります。
令和7年の3月末までに3回の接種を終わらせるためには、今年(令和6年)の9月末までに1回目の接種を終わらせておく必要があるのです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。
子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がん、咽頭がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。
子宮頚がんワクチンについて
20〜30歳代女性のがんの中で最も多いのは子宮頸がんで、日本では毎年約10000人が子宮頸がんと診断され約3000人が命を落としています。
子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス(HPVの持続感染が原因となりますが、子宮頚がんワクチン(シルガード9)はその原因の80〜90%を防ぎます。
子宮頚がんワクチン接種の日本の状況について
欧米では子宮頚がんワクチン接種をした女性の割合は60〜80%を越え、子宮頸がんの発生が明らかに減少していますが、日本の女性の接種割合は10%以下であり、子宮頸がんの撲滅にはほど遠い状態です。
柏木内科医院でも、ベトナムや中国の方などアジア圏の方は積極的に接種している印象がありますが、日本人は関心が低いようで残念に思っております。
子宮頚がんワクチン接種の副反応について
日本で子宮頚がんワクチンが導入された当初、複合性局所疼痛症候群、起立性調節障害、慢性疲労症候群などの副反応について大々的に報道され、接種ひかえが起きましたが、その後の名古屋市での調査(名古屋スタディ)により、いずれの症状も子宮頚がんワクチンとの関連は科学的に否定されています。
子宮頚がんワクチン接種後のふらつき、失神や、注射部位の痛み、腫れ、赤み、発熱等の症状は起こる可能性がありますが、いずれも軽い症状であり、経過をみることで改善することが大半です。
万が一、ワクチン接種後の副反応が続く場合には、産業医科大学病院や九州大学病院などの協力医療機関で対応する体制が整えられています。
注意点
子宮頚がんワクチン接種後も100%子宮頚がんの発症が抑えられるわけではありません。
子宮頚がんの検診については定期的(20歳以上で2年に1回)に婦人科で行うことをおすすめしています。
予防できるがん
子宮頚がんはワクチンで予防が出来る数少ないがんですので、ワクチン接種について、前向きに考えていただければと思います。
無料で3回の接種を終えるためには、今年(令和6年)の9月末までに1回目を終える必要がありますのでご検討ください。