ピロリ菌とは?
ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした最近です。胃には強い酸があるため、昔は細菌がいないと考えられていましたが、1982年にオーストラリアの医師ウォレンとマーシャルにより、ピロリ菌が胃の中に生息していることが報告されました。
その後、胃炎や胃潰瘍など、胃の病気に深く関わっていることが明らかにされました。
胃癌の他には、胃十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、機能性ディスペプシア、特発性血小板減少性紫斑病といった病気もピロリ菌の除菌で改善が期待できます。まずは検査を受けて、ピロリ菌がいるかどうか確かめることをおすすめします。
ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした最近です。胃には強い酸があるため、昔は細菌がいないと考えられていましたが、1982年にオーストラリアの医師ウォレンとマーシャルにより、ピロリ菌が胃の中に生息していることが報告されました。
その後、胃炎や胃潰瘍など、胃の病気に深く関わっていることが明らかにされました。
ピロリ菌が感染し続けている胃では、胃粘膜の萎縮が進行しやすくなります。この萎縮した粘膜に胃癌が発症しやすいことが知られています。ピロリ菌を除菌して、胃の粘膜の萎縮を改善させることにより、胃癌発症の予防効果が期待できます。
胃十二指腸潰瘍の患者さんでは、80〜90%の人がピロリ菌に感染しており、その原因となっています。除菌治療により、胃潰瘍の再発率は64.5%から11.4%に、十二指腸潰瘍の再発率は85.3%から6.8%に低下しており、除菌治療が強く勧められています。
機能性ディスペプシアとは、食後のもたれ感、腹部膨満感、心窩部痛、心窩部灼熱感などの症状が続くものの、器質的疾患を認めないものとされています。治療が困難な場合が多いですが、ピロリ菌除菌で改善する人がいると言われています。
内視鏡を使う方法では、迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法があり、内視鏡検査を使わない方法は、抗体検査、尿素呼気テスト、便中抗原検査があります。柏木内科では、血液検査による抗体検査と、尿素呼気テストを主に行っています。
※除菌薬を内服する1週間は、禁酒してください。
※抗生物質にアレルギーをお持ちの方は事前にご相談ください。
除菌療法の副作用としては除菌治療の内服を行っている1週間の間では
などの副作用が生じることがあります。
多くは内服が終われば自然に良くなります。軽い下痢や味覚障害であればそのまま内服を続けて差し支えないですが、発熱や腹痛を伴う下痢や下血、発疹などの場合は内服をやめて病院にご連絡ください。内服を続けるか迷う場合もご相談ください。
除菌治療が終了した後しばらくしてから起こる問題点としては約10%の人に逆流性食道炎が起こることがあると報告されています。
これは、ピロリ菌の除菌によって、胃が元気になって、低下していた胃酸の分泌が正常に戻ったために一時的に起こると考えられています。
ただ、症状は軽い場合が多く、治療が必要となっても胃酸を抑える薬で対応します。
除菌が成功しても、残念ながら胃癌の可能性が0になったわけではありません。
今までピロリ菌で炎症を起こしていた胃に、すでにごく小さい癌が出来てしまっている可能性があるからです。
そのまだ発見できない小さい癌が、大きくなってくる可能性を考え、除菌成功後も少なくとも5年間は年1回の内視鏡検査を行うことを強くおすすめしています。
名 称 | 内 容 | 費 用 |
---|---|---|
上部消化管内視鏡検査 (胃カメラ) | カメラのついた細くて柔らかい管を鼻もしくは口から挿入し、食道・胃・十二指腸を調べる検査です。 | 約4,000円(税込)3割負担の場合 (北九州市在住の50歳以上の方は胃がん検診で1,000円になります) |
ヘリコバクター・ ピロリ抗体血液検査 | 血液検査でピロリ菌の感染を判断します。感染の診断には有用ですが、除菌後の判定には不向きです。 | 約600円(税込) |
尿素呼気試験 | 薬を飲んで、袋に息を吹き込むことで検査ができます。苦痛なく簡単に検査ができますが、朝、食事を取らないで検査をする必要があります。感染及び除菌後の判定のどちらも可能です。 | 約1,500円(税込) |
ピロリ菌除菌治療薬 | 1次除菌(ボノサップ) 2次除菌(タケキャブ、サワシリン、フラジール) | 1次除菌:約1,600円(税込) 2次除菌:約1,300円(税込)3割負担 |
※このほかに初診料約1,100円(3割負担)または再診料約400円(3割負担)が、追加されます。
胃癌になるリスクを減らすために、除菌治療をおすすめします。日本ヘリコバクターピロリ学会のガイドラインでも、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のためピロリ菌感染者のすべての方に除菌療法を受けることを強く勧められています。
胃炎や胃潰瘍、胃癌にはピロリ菌の感染が関係していることが多いので、検査をして確かめることをおすすめします。
また、おなかの上側が痛い場合は、胃ばかりではなく膵臓や胆のうの痛みの可能性があるので、胃の痛みと決めつけずに、血液検査や腹部エコー、腹部CTなどの検査も考えた方が良いでしょう。
感染経路についてはまだはっきりとわかっていませんが、子どもの頃の飲み水によるものが大部分と考えられています。
井戸水など不完全に処理された生活用水にピロリ菌が混入していたことが疑われています。
そのほかには、親から子へ離乳食をかんで与える行為のような、感染者からの唾液を介した感染も考えられています。
いずれも、胃酸が少なく、免疫の不十分な子どもの時に感染すると言われています。上下水道が十分に普及していなかった時代に生まれた世代以前の人の感染率は高いのですが、現在の若い世代の感染率は低くなっています。
成人はピロリ菌に新たに曝露しても、一過性の胃炎を起こすことはあっても持続性のピロリ菌感染を起こすことはまれで、除菌後の再感染立は1年で約1%未満とされています。
再感染というよりは、除菌した後の判定で陰性とされたものが、本当はピロリ菌が残っていたという状況が考えられます。
これは判定検査が偽陰性であったということになりますが、この偽陰性がなぜ起こるかというと、除菌効果を確認する尿素呼気試験検査を、通常1ヶ月以上明けてから検査を行うべきなのに、検査を行ったタイミングが早い場合や、胃酸を抑える薬(PPIやP-CAB)を内服したまま検査した場合が考えられます。
柏木内科では偽陰性を避けて正確な診断をするため、除菌後に十分な期間をあけて、内服状況を確認した上で除菌判定検査を行っております。