かぜの症状と良く似ていますが、花粉症では発熱やのどの痛みはみられません。
下記の症状の他に、目の充血やかゆみ、涙が止まらないといった症状もみられます。
花粉症とは
花粉症とは、鼻の中に入ってきたスギ等の植物の花粉に対する免疫反応によって鼻水等の症状が引き起こされることをいいます。
季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれます。
花粉症の他にダニなどのアレルゲンによって引き起こされる鼻炎は通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。最近では花粉症と通年性アレルギー性鼻炎の併発や、複数の花粉に反応する花粉症など、ほぼ一年中症状に悩まされるという人も少なくありません。
花粉症のメカニズム
- 空気中に浮遊する花粉が鼻に侵入し、鼻の細胞内のマスト細胞にくっつきます。
- するとマスト細胞よりヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの化学物質物質を放出します。
- 放出されたヒスタミンなどの物質が鼻の神経や血管を刺激して、くしゃみ、鼻水、鼻づまり鼻炎などの諸症状を起こします。
花粉症の原因
季節性アレルギー性鼻炎を引き起こす花粉は、日本では約60種類も存在すると報告されています。
鼻炎を引き起こす花粉は一年中飛んでおり、春先のスギやヒノキだけでなく、初夏のシラカンバ、秋のブタクサやヨモギなど、地域や季節によって異なります。
北九州市では以下のような花粉飛散状況となっています
スギ | 2月〜3月 |
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ヒノキ | 3月〜4月 |
イネ科 | 3月〜6月・7月下旬〜10月 |
ブタクサ | 9月〜10月 |
ヨモギ | 8月下旬〜10月 |
ハンノキ | 1月〜6月 |
花粉症の症状
鼻水
かぜなどによっておこるやや粘性が高く黄・黄緑がかった鼻水とは違い、花粉症の鼻水は「水のような」粘り気がなくサラサラした透明のものが止まらずに出てきます。
鼻づまり
鼻の粘膜がはれて鼻からのどへの通り道が狭くなることによって、鼻づまりが起こります。
口で呼吸をしがちになりますので、口の渇き、咳といった症状が出たり、においを感じにくいため食べ物の味が分かりづらくなったりします。
くしゃみ
鼻の粘膜についた花粉を取り払おうとして起こる症状です。
花粉症のくしゃみは、かぜやインフルエンザの際のくしゃみより回数も多く、症状が強いため多くの人が悩まされます。
花粉症の診断
症状の種類と発症時期でほとんど診断されます。
血液検査では花粉症を起こす体質を調べる非特異的IgE検査と、どの花粉が原因となっているか調べる特異的IgE検査が行われます。
花粉症の治療
花粉症の治療には、症状を抑える「対症療法」と、完全に治すための「根治療法」があります。
- 対症療法・・・内服薬、点鼻薬、点眼薬を使った薬物療法
- 根治療法・・・免疫療法
薬物療法
花粉症治療の基本は、薬を使った対症療法で症状を引き起こす、ヒスタミンなどをブロックすることで症状を緩和します。
主に次のような薬が使われます。
抗ヒスタミン薬
薬剤治療の基本となり、一番多く使用されているのは抗ヒスタミン薬です。ヒスタミンの働きをブロックし、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を抑えます。以前には「花粉症の薬は眠くなる」と言われがちでしたが、眠気などの副作用が軽くなった第2世代抗ヒスタミン薬が登場し、今ではこちらが主流になってきています。
抗ロイコトリエン薬
ロイコトリエンは、ヒスタミンと同じようにアレルギー反応を起こす化学物質です。抗ロイコトリエン薬は鼻づまりが強いときに使われます。
点鼻ステロイド薬
くしゃみや鼻水などの鼻の症状が強いときに使われます。鼻に直接使用(点鼻)します。
ステロイドは副作用が強いというイメージがあるかもしれませんが、点鼻ステロイド薬は鼻だけに効くようにつくられているため、副作用は少なくて済みます。
点眼用抗ヒスタミン薬
目の充血、かゆみ等の症状に対して使用します。
免疫療法
根治療法として期待されているのが、アレルゲン免疫療法です。
花粉症の原因となっている物質(=アレルゲン)を少ない量から取り入れ、徐々に増やす事により、過剰な免疫反応を起こさなくするメカニズムです。花粉に反応する体質自体を変えていく治療法となります。治療には2~3年かかりますが、花粉症が完治できる可能性があります。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法(シダトレン スギ花粉舌下液)が行われています。
(注)柏木内科医院では現在免疫療法は行っておりません。
花粉症の初期療法
初期療法とは花粉シーズン時の症状を抑える、または軽くするために、発症する少し前から薬の服用を始めておく治療方法です。
具体的には花粉が飛散し始める2種雲間前ぐらいから抗ヒスタミン薬などの内服を開始することになります。
スギ花粉の場合には、2月から花粉が多くなるため、1月下旬頃より内服を開始すると効果が期待できます。
ワンポイントアドバイス
花粉症のセルフケア
薬物治療以外で大切なのは、日常生活で花粉との接触をできるだけ避けることになります。例えば、以下のことを心がけてください。
- 地域の花粉飛散情報に注意する
- 外出時にはメガネ、ゴーグルやマスク、帽子を使用する
- ウールなどの花粉がつきやすいコートは避ける
- 帰宅したら玄関で花粉をよくはらう。
- 帰宅時に手洗い、うがい、鼻うがい、洗眼をする
- 花粉が多く飛んでいる日は窓を開けない
- 花粉が多く飛んでいる日は布団を外に干さない
- 掃除をこまめに