関節リウマチの原因

関節リウマチの遺伝的要因

関節リウマチの原因は明らかではありませんが、一部に遺伝的要因が関係していると思われます。

例えば、非リウマチ家系のヒトがリウマチになる確率(疾病率)はわずか0.5%であるのに対し、関節リウマチ患者の兄弟姉妹がそろって関節リウマチになる疾病率は約5%となります。さらに、遺伝子が同じ一卵性双生児では疾病率は15~34%にまで増加します。

しかし、同じ遺伝子でも100%関節リウマチを発症するわけではないので、遺伝という関節リウマチになりやすい個人の持つ素質に加え、その他何らかの後天的要因がプラスされ、はじめて発症する疾患と考えられます。

関節リウマチの原因 関節リウマチの原因

関節リウマチの後天的要素

後天的要素の一つに「病原微生物(細菌やウイルス)による感染」が有力視されています。

その理由は、

  • 種々の感染症に罹患すると一過性で軽度とはいえ多くの例で関節痛が出現すること
  • 実験動物が病原微生物に感染している比率が高いこと
  • 微生物の細胞表面のタンパクが関節リウマチに関連ありそうな遺伝子のタンパクの構造と似ていること

などがあげられています。

しかし、微生物による感染はリウマチの原因の一つと考えられているだけで、関節リウマチがヒトにうつるわけではありません。関節リウマチは女性に多い病気であり、妊娠中に症状が軽快することや、男女比が加齢とともに減少し、経口避妊薬が関節リウマチの発症を抑えるという事実からリウマチと性ホルモンの関係も検討されています。

その他、ストレス・食事・喫煙・天候(低温・低気圧・高湿度)など様々な要因が関節リウマチの成因や増悪因子として検討されていますが、結論は出ていません。

関節リウマチの病態

関節リウマチの本態は炎症性滑膜の増殖です。

滑膜とは関節の内側を包んでいる膜で通常は1~2層の薄い膜です。しかし、関節リウマチになると滑膜が何層にも肥厚して関節の腫脹をきたすようになります。また滑膜の炎症性細胞(活性型リンパ球・マクロファージなど)や放出される炎症性物質(サイトカイン)や骨・軟骨破壊性酵素の働きにより関節は破壊されます。

関節リウマチの病態

炎症性サイトカインは骨を吸収する破骨細胞の分化や機能を亢進させ、関節リウマチの骨破壊を促進します。

治療に使用される生物学的製剤やJAK阻害薬は炎症性サイトカインを直接抑える働きがあり、関節リウマチの炎症を抑制するのみならず、骨・軟骨の破壊を抑えリウマチの関節破壊を阻止する効果があります。

関節リウマチの症状

関節リウマチの初発症状として多いものは、関節炎による関節痛、関節腫脹です。

関節炎は手の指の場合、指先の関節(DIP関節:いわゆる第1関節)に症状が起こることはまれで、手のひらに近い指の関節(PIP関節:いわゆる第2関節)に症状が起こることが多いです。

関節炎が起こる関節は、その他手の指のつけね(MCP関節)、手首、肘、肩、股関節、膝、足首、足の指のつけね(MTP関節)が多く、腰痛などは起きにくいのが特徴です。

そのほかに朝のこわばり(朝起きたときに関節が動きにくかったり、違和感を感じること)や、全身の疲れや微熱、体重減少をきたすこともあります。

関節リウマチの症状
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