関節リウマチの診断

典型的な症状がそろうと確実ですが、初期には診断がつかないこともよく経験されます。

血液検査では、血沈、CRPといった炎症反応や、RF、抗CCP 抗体を評価します。関節炎が強いときには血沈、CRPといった炎症反応が高くなることが多いのですが、肺炎や腸炎など他の病気でも高くなることがあるので、これだけで診断にはいたりません。

関節リウマチの診断

関節リウマチの検査

血液診断

RF(リウマトイド因子)は診断に有用で、リウマチ患者さんの約7〜8割に陽性ですが、全てのリウマチ患者さんが陽性になるわけではありません。また、肝臓病や結核など他の病気でも陽性になることがあるため、RF陽性であれば関節リウマチの診断で、RF陰性であれば関節リウマチではないと単純に判断することは出来ません。

CCP抗体は早期の関節リウマチの診断に有用で、この数値が高い患者さんは関節破壊の進行が早いため注意が必要です。これも、抗CCP抗体陽性であれば関節リウマチの診断で、抗CCP抗体陰性であれば関節リウマチではないと単純に判断することは出来ません。

しかしながら、多関節痛と抗CCP抗体陽性があるけれども現時点では関節リウマチの診断にはいたらない患者さんは、その後数年で進行して関節リウマチと診断されることが多いので慎重な観察が必要です。

血液診断
リウマトイド因子(RF)
関節リウマチ患者の7~8割で陽性
関節リウマチの活動性を反映
肝疾患や感染など他の疾患でも陽性になる。
抗CCP抗体
関節リウマチ患者の8~9割で陽性
将来の関節リウマチ発症を予見する
関節リウマチの活動性を反映しないため、治療効果判定には使用できない。
MMP-3
関節リウマチの活動性を反映
関節リウマチ以外の関節炎でも上昇するため、関節リウマチの診断には使用できない。

画像診断

関節の状態を評価する検査として、痛む関節をX線で評価します。
しかしながら、発症早期で関節の破壊が起きていない場合は、X線では異常は出ないため、早期診断にはあまり役に立ちません。

関節エコーでは早期に滑膜の炎症を発見することが出来るため、診断が困難な場合には関節エコーによる精密検査が多く行われています。

画像診断
X線
関節破壊を評価できる
(比較的安価)
関節破壊が起こるまで、所見があらわれないため、早期の診断には役立たない。
関節エコー
早期の関節炎を評価できる
(比較的安価)
検査を行う術者の技量が必要。
MRI
早期の関節炎を評価できる
高価 
大病院でなければ出来ず、予約が
必要なことが多い

関節リウマチの分類基準

臨床の現場では、以下の分類基準を用いて判断します。

合計してスコア6以上で関節リウマチと診断する (大関節:肩関節、肘関節、股関節、膝関節、足関節  小関節:手関節、MCP、PIP、第1IP、2-5MTP:手や足の指の関節)

罹患関節スコア
大関節1カ所0
大関節2~10カ所1
小関節1~3カ所2
小関節4~10カ所3
11カ所以上(1カ所以上の小関節)5
血清学的検査スコア
リウマトイド因子陰性かつ抗CCP抗体陰性0
いずれかが低値陽性2
いずれかが高値陽性3
急性期反応物質スコア
CRP正常かつ赤沈正常0
CRP、赤沈のいずれかが異常1
症状の持続スコア
6週未満0
6週以上1
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