関節リウマチの治療目標

関節リウマチ治療の最大の目標は、完全な寛解状態で維持することです。

【 寛解状態とは?】
関節の炎症がない、朝のこわばりがない、全身倦怠感がない、理学所見での滑膜炎がない、X線上での関節破壊の進行がない、赤沈・CRPなどの炎症所見がない

このため、高い効果をもつ薬剤を、早めに使用することが必要です。

関節リウマチ治療の最大の目標

関節リウマチの治療

関節リウマチの薬物療法の第一の目的は、関節破壊を抑えることにあります。

その目的でDMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)とよばれる薬を使います。リウマトレックス(メソトレキセート)、 リマチル(ブシラミン)、アザルフィジンEN(サラゾスルファピリジン)、ケアラム(イグラチモド)などが代表的な内服薬となります。

メトトレキサートの使用

メトトレキサートは免疫抑制作用と抗炎症作用があり、世界的にも最も良く使用されている、関節リウマチ治療の中心的役割を果たしている薬剤です。約7割の患者さんには効果がみられ、約3割の患者さんは痛みや腫れがなくなる寛解と言われる状態になります。
効果は高いものの、肝障害、血球減少、易感染性、間質性肺炎、リンパ腫などの副作用の可能性もあり、充分に注意をしながら使用します。
また、腎障害や活動性の感染症がある方には使用できません。副作用の発現を抑えるためにフォリアミン(葉酸)を一緒に内服していただきます。

メトトレキサートが使用できない場合

メトトレキサートが使用できない場合、メトトレキサート使用でも効果が不十分な場合はリマチル(ブシラミン)、アザルフィジンEN(サラゾスルファピリジン)、ケアラム(イグラチモド)などを使用します。

生物学的薬剤、JAK阻害薬の使用

最近は従来の薬で効果のなかった方にも、生物学的製剤{レミケード(インフリキシマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、アクテムラ(トシリズマブ)、ヒュミラ(アダリムマブ)、オレンシア(アバタセプト)、シンポニー(ゴリムマブ)、シムジア(セルトリシズマブ)、ケブサラ(サリルマブ)、ナノゾラ(オゾラリズマブ)などの注射薬}が使用されるようになり、高い効果が認められています。

その他にも強力な内服薬であるJAK阻害薬{ゼルヤンツ(トファシチニブ)、オルミエント(バリシチニブ)、スマイラフ(ベフィシチニブ)、リンヴォック(ウパダシチニブ)、ジセレカ(フィルゴチニブ)}など新たな薬が次々に開発されており、治療の選択肢は広がっているので、関節リウマチは完治を目指せる時代になっています。

生物学的薬剤、JAK阻害薬の使用

※生物学的製剤の治療により、破壊されて狭くなった膝の関節が改善し、ほぼ正常な関節にもどっています。

生物学的製剤、JAK阻害薬は強い効果がありますが、易感染性(肺炎、結核や帯状疱疹などをおこしやすくなる)等に副作用の可能性もあるため、使用前に評価を行ったり、注意をしながら使用する必要があります。値段が高価であることも問題となっていますが、生物学的製剤ではバイオシミラーといわれる、効果は同一で価格の安いものもありひろく用いられています。

ステロイドの使用

プレドニンやプレドニゾロンなどのステロイドは、関節の痛みや腫れをとる作用は強いものの、関節破壊を抑える作用はあまりなく、長期に使用すると感染症、骨粗鬆症、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの合併症があらわれるため、なるべく少量で、なるべく短期で使用する様すすめられています。

関節リウマチの治療薬

抗リウマチ薬 csDMARDs

一般名商品名
ブシラミンリマチル
サラゾスルファピリジンアザルフィジン
イグラチモドケアラム
メトトレキセート MTXリウマトレックス メトレート

生物学的製剤 BIO bDMARDS

一般名商品名
インフリキシマブレミケード TNF阻害
アダリムマブヒュミラ TNF阻害
ゴリムマブシンポニー TNF阻害
エタネルセプトエンブレル TNF阻害
セルトリスマブ ペゴルシムジア TNF阻害
オゾラリズマブナノゾラ TNF阻害
トシリズマブアクテムラ IL-6阻害
サリルマブケブサラ IL-6阻害
アバタセプトオレンシア T細胞共刺激経路阻害
リツキシマブリツキサン B細胞CD20阻害
メボリズマブヌーカラ IL-5阻害
ベリムマブベンリスタ 可溶性Bリンパ球刺激因子阻害

JAK阻害薬 tsDMARDs

一般名商品名
トファシチニブゼルヤンツ
バリシチニブオルミエント
ベフィシチニブスマイラフ
ウバタシチニブリンヴォック
フィルゴチニブジセレカ

免疫抑制剤

一般名商品名
シクロホスファミドエンドキサン
アザチオプリンイムラン アザニン
ミゾリビンブレディニン
メトトレキセート MTXリウマトレックス メトレート
ミコフェノール酸モフェチル MMFセルセプト
シクロスポリンネオーラル サンディミュン
タクロリムスプログラフ プロトピック(外用)

ワンポイントアドバイス

喫煙をすると関節リウマチの治療が効きにくくなると言われています。

また、関節リウマチの素因がある方は、発症の危険を高めることが知られています。関節リウマチの治療中の方や、関節リウマチが心配な方には禁煙をおすすめしています。

関節リウマチの治療のワンポイントアドバイス
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